海外転勤した場合住宅借入金等特別控除を受けられるか?

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海外転勤した場合住宅借入金等特別控除を受けられるか?

所得税

2018/12/07 海外転勤した場合住宅借入金等特別控除を受けられるか?

大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。

 

住宅借入金等特別控除とは金融機関から借入を行い一定の要件を満たす住宅を購入する場合、10年間又は15年間その借入利息のうち一定部分(通常年末借入残高の1%)を所得税から控除(上限があり、所得税から控除しきれない場合は住民税から一定限度まで控除)できる制度です。尚、年度や住宅の種類により多少制度は異なります。

 

サラリーマンが住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けていたが、会社命令により大阪から東京に転勤し子供の学校の関係で妻と子供は自宅で居住し、自身は東京で住宅を賃借し単身赴任するケースはよくあります。

この場合は、自身がその住宅に居住しなくなっても親族が引き続き居住しており転勤が終了すればまたその自宅に住むと認められるときは特例により引き続き住宅借入金等特別控除の適用を受けられることになっています(租税特別措置法通達41-2(1))。

 

それでは、海外に1年超の期間の予定で転勤になった場合はどうなるでしょうか。

 

■海外転勤になった場合の住宅借入金等特別控除

自身が、家族を自宅に残して単身で海外に1年超の期間の予定で転勤する場合は、居住者から非居住者になるため、上記の特例の適用は受けられず、住宅借入金等特別控除の適用はできなくなりますので留意が必要です。

 

手続きとしては下記の書類を所轄税務署長に提出する必要があります。

  • ①「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」
  • ②未使用分の「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」

 

例えば、平成30年5月に3年間の予定で海外転勤した場合、平成30年12月31日はその住宅に引き続き居住していないため、平成30年から平成32年までは住宅借入金等特別控除の適用は受けられません。

 

但し、公務員の場合は、海外に居住していても居住者扱いとなります(所得税法第31項)ので、引き続き住宅借入金等特別控除の適用を受けられます。

 

それでは、転勤が終了し日本に戻った場合は、再度、住宅借入金等特別控除の適用を受けられるでしょうか。

 

■海外転勤から戻った場合の住宅借入金等特別控除

自身が、家族を自宅に残して単身で海外に1年超の期間の予定で転勤していたが、日本に戻り、自宅に居住するようになった場合は、再度、住宅借入金等特別控除を受けられます(租税特別措置法第4118項)。

 

手続きとしては確定申告書とともに下記の書類を所轄税務署長に提出する必要があります。

  • ①「特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した方用)」
  • ②「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
  • ③「住民票」の写し(コピーではありません)

 

例えば、上記の事例で平成33年4月に日本に戻って自宅に居住するようになり、平成33年12月31日は引き続き自宅に居住している場合は平成33年から再度、住宅借入金等特別控除の適用を受けられます。

 

ちなみに、上記の事例で家族全員が海外に転居し、その期間中他人に住宅を賃貸していた場合は、再度住宅借入金等特別控除の適用を受けられるのは平成34年(再居住の翌年)からとなり1年ずれますので留意が必要です。

 

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