合同会社の配当限度額は株式会社と少し異なります。

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合同会社の配当限度額は株式会社と少し異なります。

会計

2021/06/01 合同会社の配当限度額は株式会社と少し異なります。

大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。

 

配当は、法人の種類により呼び名が異なります。

株式会社が行えば「剰余金の配当」、合同会社が行えば「利益の配当」と言われています。

また、配当限度額も下記の通り異なります。

 

■株式会社の分配可能額

株式会社の分配可能額は、大雑把にはその他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額です。

但し、繰延資産やのれんがある場合などは複雑な計算が必要になりますので、詳しくは別途、ミニブログ2018.8.8「法人はいくらまで配当できるか」をご参照ください。

 

■合同会社の利益の配当の制限

それでは合同会社はいくらまで配当できるのでしょうか。

答えは、大雑把には利益剰余金の額です。

 

合同会社には資本準備金や利益準備金の概念がありません。

そのため、純資産の中の社員資本(株主資本とは言いません)は資本金、資本剰余金、利益剰余金のみとなります。従って、その他資本剰余金やその他利益剰余金の概念はありません。

 

また、会社法第621条第1項に社員の利益配当請求権が規定されています。

株式会社とは違って、株主総会等での決議で配当が確定するのではなく、原則として個々の社員が請求した時点で確定します。

但し、定款で社員の過半数の決定により配当を行う旨の規定を定めた場合などは社員総会等で確定することになります。

 

それでは、資本剰余金からも配当できるのでしょうか。

実は、合同会社の場合、配当は利益剰余金からしかできません。

資本剰余金は配当財源としては認められていません。するとすれば、配当ではなく出資や持分の払戻しの手続で行うことになります。

 

また、利益の配当の限度額は「利益額」とされています(会社法第628条)。

利益額とは次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額です(会社計算規則第163条)。

  • ①利益の利益の配当をした日における利益剰余金の額
  • ②請求した社員に対して既に分配した利益の額-(請求した社員に対して既に分配した損失の額+請求した社員に対して既に配当した額)

 

■損益の分配

分配した利益や損失って何でしょうか。

実は、合同会社は「利益の配当」(会社法621条)と「損益の分配」(会社法622条)を使い分けています。

利益の配当は文字通り通常の配当を意味しますが、損益の分配は合同会社の損益をどのように各社員に配分するかの計算上の概念です。

実際にすぐに支払う場合は利益の配当、今は支払わないが、各社員にいくら将来配分するかを確定しておくものが損益の分配になります。

但し、将来この通り実際に払うかは別問題ですが。

 

税務リスクを考慮すると損益の分配割合は、通常、出資割合を使用して各社員に損益を按分することになります。

社員の入社、退社、追加出資、払戻しにより各社員の出資割合が変動することもありますので、上記②の金額は請求した社員に対する各年度の損益の分配額の累計額と既に支払済みの配当額の差額となります。

 

尚、社員が1人の場合、分配計算は不要のため上記②の金額は当期に利益の配当や出資又は持分の払戻がなければ、通常、前期末の利益剰余金の額となります。

 

■合同会社に純資産額300万円の制限はあるか?

それでは、合同会社も株式会社のように純資産額が300万円未満の場合は利益の配当をしてはいけないのでしょうか。

合同会社はこのような規制はないため、配当することは可能とされています。

 

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