気を付けよう!解散事業年度の債務免除

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気を付けよう!解散事業年度の債務免除

法人税

2018/11/30 気を付けよう!解散事業年度の債務免除

大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。

 

法人が解散決議を行った場合、みなし事業年度の規定が適用され事業年度開始の日から解散の日までは解散事業年度(法人税法第14条第1号)、解散の日の翌日から1年の期間ごとに清算事業年度(会社法上は清算事務年度)となり、残余財産が確定するまで続いていくことになります(法人税基本通達1-2-9)。

 

法人を任意解散する場合にオーナーがその法人に貸し付けていた債権を最終的に免除することが多いですが、いつ債務免除するのがよいのでしょうか。

 

■解散事業年度に債務免除を行った場合

オーナーから債務免除を受けた法人は下記の仕訳を行い債務免除益が益金に算入されます。

 

借入金xx / 債務免除益xx

 

この場合、繰越青色欠損金の範囲内で債務免除するときはその法人に法人税等はかかりませんが、それ以上に債務免除を受けると法人税等が課税されることになりますので留意が必要です。

 

また、他の債務を弁済するため会社に私財提供した場合、私財提供益が生じ、含み益のある土地等を解散事業年度に売却すると売却益が生じますが、それらが繰越青色欠損金より大きい場合は法人税等が課税されます。

 

いわゆる期限切れ欠損金は解散事業年度では損金算入されませんので留意が必要です。

 

■清算事業年度に債務免除を行った場合

清算中の会社は、利益が生じても残余財産がないと見込まれるときは、繰越欠損金(青色欠損金だけでなく期限切れ欠損金も含む)を損金に算入することとされています(法人税法第59条第3項)。

 

残余財産とは債務を返済後株主に分配できる財産のことをいいます。

 

この「残余財産がないと見込まれるとき」とは、具体的には「債務超過の状態にあるとき」をその一例としています(法人税基本通達12-3-8)。

 

また、この場合の残余財産があるか否かの判定は各清算事業年度終了の時の現況で行うことになっています。

 

従って、青色欠損金が少なく期限切れ欠損金が多い会社は、清算事業年度に債務免除、私財提供、含み益のある資産を売却するのがよいと思います。

 

■同族会社に株主が複数いる場合

同族会社のオーナーがその会社に対し債務免除や私財提供した結果、残余財産がマイナスからプラスになった場合はどうなるでしょうか。

 

その会社は所得が繰越欠損金を超える部分については法人税等が課税されますが、それ以外にオーナー以外の株主に税金がかかる場合があります。

 

オーナーが同族会社に債務免除等を行った結果、株式の価額が増加した場合、オーナーから他の株主にその増加部分を贈与したとみなされ、他の株主に贈与税が課税されるようなケースです。

 

オーナーが株式を100%所有する場合はみなし贈与の問題は生じませんが、それ以外の場合はみなし贈与が生じる可能性がありますので留意が必要です。

 

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