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個別貸倒引当金の種類により個人保証の取扱いが異なります!
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
税務上個別貸倒引当金を計上する際、特定の債務者に対する対象金銭債権から控除する項目の一つとして「担保権の実行その他により取立又は弁済の見込みがあると認められる部分の金額(以下、担保権実行等による回収見込額)」があります。
この「担保権実行等による回収見込額」の中に個人保証による回収見込額が含まれるか否かが問題となります。
個別貸倒引当金の種類には外国政府等に対する債権を除き下記の3つがありますが、それぞれの種類に応じて個人保証に対する取扱いが異なります。
実際問題として、個人保証による回収見込額を算定することは困難なため、これを計算しないで済む個別貸倒引当金の方が計上しやすいと思います。
■長期棚上げ債権の場合
会社更生法の更生計画認可決定等により切捨てられることが決定した部分については法的な債権の消滅により貸倒損失として損金算入されますが、それ以外の部分の債権については長期棚上げ又は年賦償還され、このうち5年経過後返済又は免除予定の部分について貸倒引当金を計上することができます。
具体的には貸倒引当金繰入限度額を下記の計算式により算定します(法人税法施行令第96条第1項第1号)。
貸倒引当金繰入限度額=金銭債権額-5年以内弁済予定金額-担保権実行等による回収見込額
担保権実行等による回収見込額とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額とされており(法人税基本通達11-2-5)、個人保証は含まれていないと解されています。
■実質基準による債権の場合
その債務者に債務超過の状態が相当期間継続し、その営む事業に好転の見通しがない場合等に、下記の金額を貸倒引当金に計上できます(法人税法施行令第96条第1項第2号)。
貸倒引当金繰入限度額=金銭債権額-担保権実行等による回収見込額
この場合の担保権実行等による回収見込額の中には原則として個人保証による回収見込額を含むと解されています。
なぜなら、法人税基本通達11-2-5において法人税法施行令第96条第1項第2号が除かれているからです。
但し、この場合でも下記の場合は個人保証を考慮しなくてもよいこととされています(法人税基本通達11-2-7)。
(1) 保証債務の存否に争いのある場合で、そのことにつき相当の理由のあるとき
(2) 保証人が行方不明で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権、抵当権(以下「質権等」という。)が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれない場合
(3) 保証人について令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる事由が生じている場合
(4) 保証人が生活保護を受けている場合(それと同程度の収入しかない場合を含む。)で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれないこと。
(5) 保証人が個人であって、次のいずれにも該当する場合
イ 当該保証人が有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により、当該資産からの回収が見込まれないこと。
ロ 当該保証人の年収額(その事業年度終了の日の直近1年間における収入金額をいう。)が当該保証人に係る保証債務の額の合計額(当該保証人の保証に係る金銭債権につき担保物がある場合には当該金銭債権の額から当該担保物の価額を控除した金額をいう。)の5%未満であること。
■形式基準による債権
会社更生法による更生手続開始の申立て等や手形交換所等の取引停止処分があった場合については下記の金額を貸倒引当金に計上できることとされています(法人税法施行令第96条第1項第3号)。
貸倒引当金繰入限度額=(金銭債権額-実質的に債権と認められない部分の金額-担保権実行等による回収見込額-金融機関等により保証されている部分の金額)×50%
この場合の担保権実行等による回収見込額の中には個人保証を含まないと解されています。
なぜなら、法人税基本通達11-2-5に法人税法施行令第96条第1項第3号が記載されているからです。
以上のように、担保権実行等による回収見込額の中に個人保証による回収見込額を含むか否かは個別貸倒引当金の種類により異なりますので留意が必要です。
実質基準により個別貸倒引当金を計上する場合、個人保証による回収見込額も算定しなければならないことがこの貸倒引当金を計上することを困難にしている理由の1つとなっています。
この点、長期棚上げ債権等、形式基準による債権の場合は個別貸倒引当金の計上が比較的容易といえると思います。
21/06/01
21/04/21
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
税務上個別貸倒引当金を計上する際、特定の債務者に対する対象金銭債権から控除する項目の一つとして「担保権の実行その他により取立又は弁済の見込みがあると認められる部分の金額(以下、担保権実行等による回収見込額)」があります。
この「担保権実行等による回収見込額」の中に個人保証による回収見込額が含まれるか否かが問題となります。
個別貸倒引当金の種類には外国政府等に対する債権を除き下記の3つがありますが、それぞれの種類に応じて個人保証に対する取扱いが異なります。
実際問題として、個人保証による回収見込額を算定することは困難なため、これを計算しないで済む個別貸倒引当金の方が計上しやすいと思います。
■長期棚上げ債権の場合
会社更生法の更生計画認可決定等により切捨てられることが決定した部分については法的な債権の消滅により貸倒損失として損金算入されますが、それ以外の部分の債権については長期棚上げ又は年賦償還され、このうち5年経過後返済又は免除予定の部分について貸倒引当金を計上することができます。
具体的には貸倒引当金繰入限度額を下記の計算式により算定します(法人税法施行令第96条第1項第1号)。
貸倒引当金繰入限度額=金銭債権額-5年以内弁済予定金額-担保権実行等による回収見込額
担保権実行等による回収見込額とは、質権、抵当権、所有権留保、信用保険等によって担保されている部分の金額とされており(法人税基本通達11-2-5)、個人保証は含まれていないと解されています。
■実質基準による債権の場合
その債務者に債務超過の状態が相当期間継続し、その営む事業に好転の見通しがない場合等に、下記の金額を貸倒引当金に計上できます(法人税法施行令第96条第1項第2号)。
貸倒引当金繰入限度額=金銭債権額-担保権実行等による回収見込額
この場合の担保権実行等による回収見込額の中には原則として個人保証による回収見込額を含むと解されています。
なぜなら、法人税基本通達11-2-5において法人税法施行令第96条第1項第2号が除かれているからです。
但し、この場合でも下記の場合は個人保証を考慮しなくてもよいこととされています(法人税基本通達11-2-7)。
(1) 保証債務の存否に争いのある場合で、そのことにつき相当の理由のあるとき
(2) 保証人が行方不明で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権、抵当権(以下「質権等」という。)が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれない場合
(3) 保証人について令第96条第1項第3号《貸倒引当金勘定への繰入限度額》に掲げる事由が生じている場合
(4) 保証人が生活保護を受けている場合(それと同程度の収入しかない場合を含む。)で、かつ、当該保証人の有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により当該資産からの回収が見込まれないこと。
(5) 保証人が個人であって、次のいずれにも該当する場合
イ 当該保証人が有する資産について評価額以上の質権等が設定されていること等により、当該資産からの回収が見込まれないこと。
ロ 当該保証人の年収額(その事業年度終了の日の直近1年間における収入金額をいう。)が当該保証人に係る保証債務の額の合計額(当該保証人の保証に係る金銭債権につき担保物がある場合には当該金銭債権の額から当該担保物の価額を控除した金額をいう。)の5%未満であること。
■形式基準による債権
会社更生法による更生手続開始の申立て等や手形交換所等の取引停止処分があった場合については下記の金額を貸倒引当金に計上できることとされています(法人税法施行令第96条第1項第3号)。
貸倒引当金繰入限度額=(金銭債権額-実質的に債権と認められない部分の金額-担保権実行等による回収見込額-金融機関等により保証されている部分の金額)×50%
この場合の担保権実行等による回収見込額の中には個人保証を含まないと解されています。
なぜなら、法人税基本通達11-2-5に法人税法施行令第96条第1項第3号が記載されているからです。
以上のように、担保権実行等による回収見込額の中に個人保証による回収見込額を含むか否かは個別貸倒引当金の種類により異なりますので留意が必要です。
実質基準により個別貸倒引当金を計上する場合、個人保証による回収見込額も算定しなければならないことがこの貸倒引当金を計上することを困難にしている理由の1つとなっています。
この点、長期棚上げ債権等、形式基準による債権の場合は個別貸倒引当金の計上が比較的容易といえると思います。
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