パートアルバイトから正社員になった者が退職した場合の退職所得の源泉徴収

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パートアルバイトから正社員になった者が退職した場合の退職所得の源泉徴収

源泉所得税

2018/09/03 パートアルバイトから正社員になった者が退職した場合の退職所得の源泉徴収

大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。

 

現在、人手不足のため非常勤社員から正社員に雇用切替を行う企業が増加しております。

この方たちが今後退職された場合、どのように退職所得控除を計算するのでしょうか。

退職所得は分離課税で下記の算式で計算され、通常、会社は退職者から退職所得の受給に関する申告書を提出してもらい源泉徴収税額(所得税、復興特別所得税、住民税)を控除後の金額を本人に支払い、源泉徴収税額を国等に納付するため、退職者は確定申告が不要になるケースがほとんどです。

 

・退職所得

(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2

但し、勤続年数が5年以下の役員等の場合、上記算式の1/2の適用はできません。

退職所得控除額は原則として下記の合計額となります。

尚、勤続年数の端数は切上げです。

 

勤続年数:20年以内 40万円×勤続年数

20年超  70万円×(勤続年数-20)

 

例えば、勤続年数が25年の場合、退職所得控除額は40万円×20+70万円×(25-20)=1150万円となります。

従って、退職金が1,150万円以下の場合、税金はかからず、仮に1,500万円の退職金を受けても退職所得は175万円とかなり少なくなります。

 

また、退職所得は分離課税のため給与所得等と異なり他の所得と合算せず、退職所得のみで税額計算し源泉徴収されますからそれだけで課税関係は通常完結します。

 

ちなみに、本事例の場合は、源泉徴収税額は下記の通りとなります。

  • 所得税・復興特別所得税 1,750,000×105%=89,337
  • 住民税         1,750,000×10%=175,000

合計          264,337円(退職金収入1,500万円に対し約1.8%)

 

退職所得は退職後の生活費に使われることが前提とされていますので、給与所得等と比べ税務上非常に優遇されているわけです。

 

それではアルバイト期間が5年、正社員期間が20年の場合、退職所得控除額はどうなるのでしょうか。

正社員期間のみの20年を基礎に800万円(40万円×20)となるのでしょうか。

 

給与について日雇い(丙欄適用者)か、それ以外(甲欄又は乙欄適用者)であったかににより取扱いは異なります。

 

日雇いの場合は、その勤続期間を含みません(所得税基本通達30-9)。その結果、勤続年数20年、退職所得控除額800万円となります。

 

日雇いでない場合、その勤続期間を含むこととなります。その結果、勤続年数25年、退職所得控除額1,150万円となります。

 

通常は甲欄又は乙欄適用者のケースが多いと思われますので、留意が必要となります。

 

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