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負担付贈与の贈与税等について
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
今回は負担付贈与について説明したいと思います。
負担付き贈与とは受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与のことです。
■父親から長男が借入先銀行の了解を得て住宅ローン残高1000万円、相続税評価額2000万円、時価2500万円の住宅の贈与を受けた場合、長男に贈与税がいくらかかるか。
この場合、長男は2500万円の時価の財産を1000万円の負担で取得することになり、父親から長男に対する贈与となります(相続税法9条のみなし贈与)。
贈与税は暦年課税と相続時精算課税の選択ができます。
住宅ローン付きの住宅を贈与する場合は負担付贈与となり、贈与税の課税価格の計算の基礎となる評価額は相続税評価額ではなく通常の価額、すなわち時価となります(相続税法基本通達21の2-4、平元直評5外)。
従って、贈与税の課税価格は以下の通りとなります。
2500(通常の価額)-1000万円(借入金)-110万円(基礎控除額)=1390万円
ちなみに、住宅ローンがついていなければ贈与税の課税価格は相続税評価額の2000万円を基礎として計算(1890万円)することとなります。
贈与税額は長男が他に贈与を受けていないと仮定すると
1390×40%-190万円=366万円となります。
さらに長男に対して不動産取得税、登録免許税がかかります。
相続時精算課税を選択する場合は選択時からの累計額が2500万円まで贈与税はかかりません。
従って贈与税の課税価格は以下の通りとなります。
2500(通常の価額)-1000万円(借入金)-1500万円(特別控除額)=0
但し、今後父親から贈与を受ける場合は110万以下でも相続時精算課税の贈与税の申告をする必要があり、2500万円を超えるとその超える部分の金額に20%の贈与税がかかります。
また、贈与者が死亡したときに当該贈与財産を相続財産に贈与時の価額で含めて相続税を計算し、贈与税を控除して精算することになります。
なお、長男が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合、贈与税を課されない可能性があります。
それでは、住宅ローン残高が住宅の時価を上回っている場合はどうなるでしょうか。
以下の事例の通りやはり贈与税の問題は生じます。
■父親から長男が借入先銀行の了解を得て住宅ローン残高3000万円、相続税評価額2000万円、時価2500万円の住宅の贈与を受け債務引き受けをした場合、長男に贈与税がいくらかかるか。
この場合は、長男が父親から2500万円の時価の住宅を取得する代わりに3000万円で債務を引き受け(実質的に500万円多く負担し)たことになりますので長男ではなく父親に贈与税がかかります。
長男が父親から負担付贈与を受けたというよりはむしろ、父親が長男に債務引き受けしてもらったことになるからです(相続税法第8条のみなし贈与)。
長男から父親に対する贈与のため相続時精算課税の適用はできず暦年課税の適用となると思われます。
3000万円-2500万円-110万円(基礎控除額)=390万円
贈与税額は父親が他に贈与を受けていないと仮定すると
390×15%-10万円=48.5万円となります。
なお、父親が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合、贈与税を課されない可能性があります。
また、両事例とも父親の住宅の取得費がローン残高より低い場合は、父親に譲渡税(所得税・復興特別所得税・住民税)がかかります。
また、親族に対する居住用不動産の売却のため3000万円の特別控除は適用できません。
21/06/01
21/04/21
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
今回は負担付贈与について説明したいと思います。
負担付き贈与とは受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与のことです。
■父親から長男が借入先銀行の了解を得て住宅ローン残高1000万円、相続税評価額2000万円、時価2500万円の住宅の贈与を受けた場合、長男に贈与税がいくらかかるか。
この場合、長男は2500万円の時価の財産を1000万円の負担で取得することになり、父親から長男に対する贈与となります(相続税法9条のみなし贈与)。
贈与税は暦年課税と相続時精算課税の選択ができます。
住宅ローン付きの住宅を贈与する場合は負担付贈与となり、贈与税の課税価格の計算の基礎となる評価額は相続税評価額ではなく通常の価額、すなわち時価となります(相続税法基本通達21の2-4、平元直評5外)。
従って、贈与税の課税価格は以下の通りとなります。
2500(通常の価額)-1000万円(借入金)-110万円(基礎控除額)=1390万円
ちなみに、住宅ローンがついていなければ贈与税の課税価格は相続税評価額の2000万円を基礎として計算(1890万円)することとなります。
贈与税額は長男が他に贈与を受けていないと仮定すると
1390×40%-190万円=366万円となります。
さらに長男に対して不動産取得税、登録免許税がかかります。
相続時精算課税を選択する場合は選択時からの累計額が2500万円まで贈与税はかかりません。
従って贈与税の課税価格は以下の通りとなります。
2500(通常の価額)-1000万円(借入金)-1500万円(特別控除額)=0
但し、今後父親から贈与を受ける場合は110万以下でも相続時精算課税の贈与税の申告をする必要があり、2500万円を超えるとその超える部分の金額に20%の贈与税がかかります。
また、贈与者が死亡したときに当該贈与財産を相続財産に贈与時の価額で含めて相続税を計算し、贈与税を控除して精算することになります。
なお、長男が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合、贈与税を課されない可能性があります。
それでは、住宅ローン残高が住宅の時価を上回っている場合はどうなるでしょうか。
以下の事例の通りやはり贈与税の問題は生じます。
■父親から長男が借入先銀行の了解を得て住宅ローン残高3000万円、相続税評価額2000万円、時価2500万円の住宅の贈与を受け債務引き受けをした場合、長男に贈与税がいくらかかるか。
この場合は、長男が父親から2500万円の時価の住宅を取得する代わりに3000万円で債務を引き受け(実質的に500万円多く負担し)たことになりますので長男ではなく父親に贈与税がかかります。
長男が父親から負担付贈与を受けたというよりはむしろ、父親が長男に債務引き受けしてもらったことになるからです(相続税法第8条のみなし贈与)。
長男から父親に対する贈与のため相続時精算課税の適用はできず暦年課税の適用となると思われます。
従って、贈与税の課税価格は以下の通りとなります。
3000万円-2500万円-110万円(基礎控除額)=390万円
贈与税額は父親が他に贈与を受けていないと仮定すると
390×15%-10万円=48.5万円となります。
さらに長男に対して不動産取得税、登録免許税がかかります。
なお、父親が資力を喪失して債務を弁済することが困難な場合、贈与税を課されない可能性があります。
また、両事例とも父親の住宅の取得費がローン残高より低い場合は、父親に譲渡税(所得税・復興特別所得税・住民税)がかかります。
また、親族に対する居住用不動産の売却のため3000万円の特別控除は適用できません。
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