営業用自動車(普通自動車)を購入した場合の取得原価と耐用年数とは?

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営業用自動車(普通自動車)を購入した場合の取得原価と耐用年数とは?

2018年

2018/10/26 営業用自動車(普通自動車)を購入した場合の取得原価と耐用年数とは?

大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。

 

法人が営業用自動車を購入した場合、ディーラーから受け取る見積書の項目が多く会計処理に迷うことがあります。

 

面倒なので、全額車両運搬具の取得原価に含めているケースも見かけますが、一部費用処理のできる項目もありますのでご留意ください。

 

■営業用自動車の取得原価

見積書の中は通常下記の項目が記載されています。

下記の項目は、取得原価に含めなければならないもの、会社の選択により費用処理できるもの、費用処理するもの、預託金処理するものに分かれます。

 

  • ①自動車の本体価額
  • ②カーテレビ
  • ③カーナビゲーション
  • ④自動車取得税
  • ⑤自動車重量税
  • ⑥自動車税
  • ⑦自動車損害賠償責任保険の保険料
  • ⑧検査登録費用
  • ⑨車庫証明費用
  • ⑩リサイクル関連費用
  • ⑪納車費用
  • ⑫下取価額(▲)

 

1.上記のうち、車両運搬具の取得原価に含めなければならない項目は下記の通りです。

  • ①自動車の本体価額
  • ②カーテレビ
  • ③カーナビゲーション
  • ⑪納車費用
  • ⑫下取価額(▲)のうち値引き額

 

尚、旧自動車の下取価額が時価を上回る場合はその上回る金額を新規購入自動車の値引きとして取得原価から控除することになります。

旧自動車の時価は売却額として取扱い旧自動車の売却額と帳簿価額との差額を車両売却損益に計上します。

 

また、輸入車を購入する場合に関税、運送保険料、運賃がかかる場合がありますが、これらの費用は取得原価に含めることになります。特に海外支店で輸入車を購入した場合は、国によっては本体価額より関税の方が高くなることもあります。

 

2.費用処理するか取得原価に含めるか会社の判断に任されているもの

  • ④自動車取得税
  • ⑧検査登録費用
  • ⑨車庫証明費用

これらは自動車の取得に伴う費用のため取得原価に含めるべきものと考えられますが、事後的な費用で、その性格も流通税的なもの、第三者への対抗要件を備えるためのものと考えられるため費用処理もできることとされています。

 

3.費用処理するもの

  • ⑤自動車重量税
  • ⑥自動車税
  • ⑦自動車損害賠償責任保険の保険料

上記については自動車の保有に係る事後的な費用のため、費用処理することとされています。

 

尚、通常、自動車損害賠償責任保険料は2~3年分を前払いしますので、厳密には長期前払費用計上して当期分のみ償却するべきものですが、強制加入の保険であり重要性が小さいため、費用処理が認められているようです(判断は自己責任でお願いいたします)。

現在の「法人税質疑応答集」にはその旨載っていませんが、昔のものには載っていました。

 

4.預託金処理するもの

⑩リサイクル費用は自動車を処分するときに所有者が負担すべきものですが、購入車を処分するときまでディーラーに預託します。会計処理は預託金として投資その他の資産に計上します。

 

■エコカー等補助金の会計処理

環境対策に配慮した一定の自動車(電気自動車、プラグインハイブリッド自動車など)を購入する場合、期限内に申請すればエコカー等補助金を受け取れる場合があります。

会計処理は、入金時に国庫補助金等として補助金収入に計上するとともに直接減額方式で固定資産圧縮損を計上します。

その後の減価償却費は圧縮後の取得原価を基礎に計算します。

 

尚、上場会社等公認会計士監査を受ける法人は原則として積立金方式で会計処理しますが、国庫補助金等については直接減額方式も認められています。

 

圧縮記帳は課税の繰延効果がありますが、仕訳や税務申告が複雑になること、自動車は建物に比べ耐用年数が比較的短く、補助金も小さいことから低金利の現在、圧縮記帳しない場合も多いと思います。

 

■旧自動車の下取りの消費税処理

旧自動車を下取りしてもらう場合に売却損益を計上しますが、消費税の課税売上高はあくまで売却額であり売却損益ではありませんので留意が必要です。

 

例えば、車両運搬具の簿価20万円の自動車を40万円(時価30万円)で下取りしてもらい、新車200万円を購入し160万円支払った場合の会計処理は以下の通りです。

この場合、新車の値引き額は10万円(40万円―30万円)となります。

 

車両運搬具(新)1,900,000  現金1,600,000

                                  車両運搬具(旧)200,000

                                  車両運搬具売却益100,000(課税売上)

 

上記の処理をすると、消費税申告書上、課税売上高を300,000円とするため200,000円申告加算する必要があります。

 

しかし下記のような仕訳をすると消費税申告書上、申告調整しなくて済みます。

 

車両運搬具(新)1,900,000  現金1,600,000

                                  車両運搬具売却益300,000(課税売上)

 

車両運搬具売却益200,000(不課税)  車両運搬具200,000

 

■営業用自動車の耐用年数

営業用自動車(普通自動車)の法定耐用年数は総排気量により区分されます。

尚、排気量は車検証で確認できます。

新車の場合は排気量660cc以下の場合は小型車(軽自動車)となり4年、660cc超の場合は6年となります。

                            

但し、中古車の場合は、下記の算式で簡便的に中古耐用年数を使用することができます。

下記の算式で求めた耐用年数は小数点以下切捨て、下限は2年です。

 

  • ①法定耐用年数を経過したもの…法定耐用年数×0.2

例えば、耐用年数6年の自動車(経過年数6年)を購入した場合は

6×0.2=1.2→2年となります。

 

  • ②法定耐用年数を経過していないもの…法定耐用年数―経過年数+経過年数×0.2

 

例えば、耐用年数6年の自動車(経過年数2年)を購入した場合は

6-2+2×0.2=4.2→4年となります。

 

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