ご存知でしょうか。相続税の取得費加算のこと

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ご存知でしょうか。相続税の取得費加算のこと

2016年

2016/08/31 ご存知でしょうか。相続税の取得費加算のこと

相続税の取得費加算の特例(相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(措法39))とは相続により取得した不動産や株式を一定期間内に譲渡すると譲渡所得の計算上既に支払った相続税のうち一定金額を控除してくれる特例で従来からある制度です。

具体的には相続又は遺贈により取得した財産(土地・家屋・株式等)を相続の開始があった日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(基本的に死亡日から3年10カ月以内)に譲渡した場合、下記の計算式により算定した取得費加算額を譲渡所得の計算上控除できるというものです。

・取得費加算額①=相続税の額×譲渡した相続財産の額/相続した財産の額(債務控除前)

・譲渡所得=譲渡収入-(取得費+取得費加算額+譲渡費用)

・譲渡に係る所得税=譲渡所得×税率

ところで、土地や借地権については、取得費加算額は相続した日によって計算式が異なります。

平成27年1月1日以後に相続等により取得した土地を譲渡した場合、取得費加算額は上記①の算式になりますが、平成26年12月31日以前に相続等により取得した土地を一定期間内に譲渡しますと取得費加算額は下記の計算式②により算定しますので上記①の計算よりかなり金額が大きくなるケースもあります。

・取得費加算額②=相続税の額×相続した全ての土地等の相続税評価額の合計額/相続した財産の額(債務控除前)

すなわち、売却していない土地等にかかった相続税も譲渡所得の計算上控除できるということです。

上記の通り、例えば、平成25年10月31日に相続した土地を平成29年8月31日までに売却するのとその日後に売却するのではかなり譲渡に係る所得税額に違いが生じますので売却時期をいつにするかが重要なポイントとなります。

尚、相続等により取得した土地を譲渡しても相続税がかかっていなかった場合、当然取得費加算額はありません。

また、この特例は、被相続人の居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例(相続した空家の3000万円特別控除(措法35③))と重複適用はできませんのでご留意ください。