平成28年4月以降取得の建物附属設備及び構築物の減価償却方法が変更されました。

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平成28年4月以降取得の建物附属設備及び構築物の減価償却方法が変更されました。

2016年

2016/09/30 平成28年4月以降取得の建物附属設備及び構築物の減価償却方法が変更されました。

1.法人の場合

税制改正により平成28年4月1日以後取得する建物附属設備及び構築物については定額法しか認められなくなりました(鉱業用減価償却資産及びリース資産の説明を省略)。

法人の有形固定資産(鉱業用減価償却資産及びリース資産を除く)の減価償却方法は以下の通りです

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法人の建物附属設備及び構築物の法定償却方法は、従来は定率法でしたが税制改正に伴い、これらの資産は定率法の対象から除外されていますので、従来から減価償却方法の選択届出書を提出していない場合は、平成28年3月31日以前取得資産は定率法(上記の通り取得年度により異なる償却率)、平成28年4月1日以後取得資産は定額法となります。

従って、特に変更の届出は不要です。

 

ちなみに、どの程度影響があるかですが、例えば法定耐用年数15年の資産であれば、償却率は0.133%から0.067%になり、大幅に償却限度額は減少します。

尚、会計上従来通り上記資産について定率法を継続適用しますと税務上申告加算調整が必要となります。

平成28年4月1日以後取得の上記資産についてのみ税制改正に伴い会計方針を変更する場合は、「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」実務対応報告第32号第2項に従い、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱い、変更した旨及び影響額を注記する必要があります。

 但し、既存資産(平成28年3月31日以前取得資産)まで定率法から定額法に変更する場合は、自発的に行う会計方針の変更として取り扱われ、別途正当な理由が必要となりますのでご留意ください。

尚、この場合、税務上は「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出する必要がありますが、通常の変更のように変更事業年度の開始日前に提出する必要はなく、平成28年4月1日以後最初に終了する事業年度の確定申告期限までに提出すれば、その提出をもって承認されたものとみなされます(改正法令附則6②、11)。

また、償却限度計算は期首帳簿価額を取得原価、残存年数を償却年数として行い、少し複雑になりますのでご留意ください。

 

2.個人事業主の場合

 法人と同様、個人事業主も税制改正により平成28年4月1日以後取得する建物附属設備及び構築物については定額法しか認められなくなりました(鉱業用減価償却資産及びリース資産の説明を省略)。

 個人事業主の有形固定資産(鉱業用減価償却資産及びリース資産を除く)の減価償却方法は以下の通りです

 

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 個人事業主の場合も基本的に法人の場合と同様ですが、法定償却方法が元々定額法であるため、償却方法の届出をしていない方は特に変更について気にする必要はありません。

但し、上記資産について定率法を採用していた方は既存資産及び平成28年3月31日以前取得資産は定率法、平成28年4月1日以後取得資産があれば定額法により減価償却計算する必要が生じます。

 尚、法人と異なり、個人事業主の減価償却は強制のため、従来から上記資産について定率法を選択していたにもかかわらず、今回の税制改正を反映し漏れて平成28年4月1日以後取得資産についてうっかり定率法で計算すると後日修正申告が必要となりますのでご留意ください。

 また、上記資産の既存資産についても定率法から定額法に変更する場合は、法人と同様、平成28年分の確定申告期限までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出すれば、その提出をもって承認されたものとみなされます(改正法令附則6②、11)。

 ちなみに、定率法の方が定額法よりも明らかに償却率が高いため課税所得が多い方は建物、建物附属設備及び構築物以外の資産については減価償却方法を定率法に変更した方が税務上有利です。

 但し、減価償却方法の変更を行う場合、変更事業年度の開始日の前日までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出する必要があること、減価償却方法は原則として3年以上継続適用する必要があることに留意が必要です。

 また、課税所得がマイナスとなる方は、法人の場合であれば9年繰り越せますが、個人事業主は3年しか繰り越せませんので、次年度以降課税所得が多く見込めなければ切捨てとなる可能性が高いため定額法の方が有利になると思われます。