平成28年3月期より地方税の資本金等の額の適用が複雑になっています。

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平成28年3月期より地方税の資本金等の額の適用が複雑になっています。

2016年

2016/10/15 平成28年3月期より地方税の資本金等の額の適用が複雑になっています。

皆様ご存知の通り従来から資本金や資本金等の額により法人税上の取扱いや地方税上の取扱いが異なりますが、法人税法上の資本金等の額は法人税法施行令第8条によって規定されており、会計上無償増資や無償減資を行っても法人税法上の資本金等の額は基本的に変動しません。

従来は事業税を除き法人税法上の資本金等の額と地方税法上の資本金等の額は一致していましたが、平成27年度税制改正により一致しなくなりました。

そのため、住民税の均等割や法人税割の金額は地方税法上の資本金等の額を別途計算して決定する必要があります。

具体的には、下記の取引があった場合、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から法人税法上の資本金等の額に下記の調整を行い地方税法上の資本金等の額を計算し均等割や法人税割を決定することが必要となりました。

 

1.平成13年4月以降損失填補のために減資した場合、減少した資本金額を減算する(地方税法23①四の五、292①四の五)。

但し、資本金又は資本準備金をその他資本剰余金に振り替え、1年以内に損失填補に充てられたものに限ります。

2.平成22年4月以降その他利益剰余金や利益準備金を資本金に組み入れた場合は、増加した資本金額を増加する(地税法23①四の五、292①四の五)。

3.法人税法上の資本金等の額に上記1,2の調整を行って求めた地方税法上の資本金等の額と会計上の資本金と資本備金との合計額(又は出資金の額)のうちどちらか大きい金額を地方税法上の資本金等の額とする(地方税法52④、312⑥)。

 元々会計上の資本金と資本準備金との合計額は税務上の資本金等の額と一致していませんでしたが、さらに法人税法上の資本金等の額と地方税法上の資本金等の額が異なるようになったため今後は3通りの数値を管理する必要があります。

 但し、従来から事業税の資本割に使用していた資本金等の額は法人税法上の資本金等の額と異なっていましたので平成27年度の改正により上記1,2について住民税と事業税の資本金等の額が一致したことになります。

 また、均等割の決定に使用する資本金等の額の内容は全国一律の基準ですが、法人税割の不均一課税の決定方法は各都道府県や市町村の条例により異なるため注意が必要です。

 具体的には、ほとんどの地方自治体の法人税割の不均一課税の決定方法は資本金の額を基準にしていますが、中には資本金等の額を基準にしている地方自治体もあり、さらに上記1及び2を反映させるか否か、上記3を反映させるか否かは各地方自治体の条例により異なります。

 

 従って、法人税割の不均一課税に資本金等の額を基準にしている地方自治体は下記の通り4通りの方法が考えられ各地方自治体の条例や住民税の手引きを見る必要があります。

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ちなみに大阪府や大阪市は住民税の不均一課税を資本金額で判定し、枚方市は不均一課税がないため上記内容は影響しませんのでご安心ください。

尚、京都府は住民税の不均一課税を資本金額で判定しますが、京都市、八幡市は上記表の①に該当しますのでご留意ください。