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法人はいくらまで配当できるか
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
法人は決算終了後一定の手続きを踏めばいつでも株主に対して配当することができます。
但し、いくらでも配当できるわけではありません。
分配可能額の範囲内ですることができるのです。
配当しすぎたために会社債権者が債権を回収できなくなることを防止する必要があるからです。
また、分配可能額があっても純資産額が300万円未満の場合、配当はできませんので留意が必要です。
分配可能額より多い配当をした場合は会社法違反となり、受領した株主、配当に関する職務を執行した業務執行取締役、配当議案の提案をした取締役に会社に対して連帯して金銭支払義務等が生じるため分配可能額の計算は重要です(会社法第462条、第463条)。
さらに、分配可能額は自己株式の取得制限額でもあります。
それでは分配可能額の計算はどのように計算するのでしょうか。
以下、便宜上、当期に配当する場合で説明いたします。
■自己株式、のれん、繰延資産、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金、分配時まで期中剰余金増減取引がない場合
分配可能額=分配時の剰余金(その他利益剰余金+その他資本剰余金)
分配時の剰余金は前期末の剰余金に一定の剰余金増減取引(会社法第446条2~7号、会社計算規則第150条)を調整して算定することになっています。
分配時の剰余金となっていますが、期首から分配時までの期中の当期損益が発生していても上記の剰余金増減取引には含まれていませんので、他に期首から分配時までに剰余金増減取引がなければ、結局、前期末のその他利益剰余金とその他資本剰余金の合計額が分配可能額になります。
従って、当期首から分配時まで利益が計上されていてもそれからは分配できません。
但し、臨時計算書類を作成し一定の手続きを踏めば分配できます。
■自己株式、のれん、繰延資産、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金、分配時まで期中剰余金増減取引がある場合
分配可能額は通常下記のとおりです。
分配可能額=分配時の剰余金-分配時の自己株式の帳簿価額-期首から分配時までの自己株式の処分対価-法務省令で定める額(会社計算規則第158条)
法務省令で定める額のうち主な項目のみを示しますと分配可能額は下記の算式により計算されます。
留意点はどの時点(分配時か前期末)の数値を使うか、どの期中剰余金増減取引を使うか、減額調整項目があるかどうかです。
分配可能額=分配時のその他利益剰余金(期首から分配時までの当期損益を除く)+分配時のその他資本剰余金-分配時の自己株式の帳簿価額-期首から分配時までの自己株式の処分対価-前期末のその他有価証券評価差額金(マイナス残高のみ)-前期末の土地再評価差額金(マイナス残高のみ)-前期末ののれん等調整額がある場合の控除額
図で示しますと下記の黄色部分が分配可能額となります。
のれん、繰延資産、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金、分配時まで期中剰余金増減取引がある場合、うっかり、分配可能額を超過して配当しないようにしましょう。
さらに、連結配当規制適用会社は単体では分配可能額が大きくても、業績の悪い子会社等があるため連結ベースの分配可能額が小さくなる場合はその分影響を受けますので留意が必要です。
なお、法人税法上の資本金等の額、利益積立金額と会計上の資本等金額(資本金+準備金)+その他資本剰余金、その他利益剰余金は全く違います。
従って、その他資本剰余金を原資に配当した場合は法人税申告書作成上調整が必要ですので留意が必要です。
参考条文
・会社法第446条、第461条
・会社計算規則第149条、第150条、第158条、
21/06/01
21/04/21
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
法人は決算終了後一定の手続きを踏めばいつでも株主に対して配当することができます。
但し、いくらでも配当できるわけではありません。
分配可能額の範囲内ですることができるのです。
配当しすぎたために会社債権者が債権を回収できなくなることを防止する必要があるからです。
また、分配可能額があっても純資産額が300万円未満の場合、配当はできませんので留意が必要です。
分配可能額より多い配当をした場合は会社法違反となり、受領した株主、配当に関する職務を執行した業務執行取締役、配当議案の提案をした取締役に会社に対して連帯して金銭支払義務等が生じるため分配可能額の計算は重要です(会社法第462条、第463条)。
さらに、分配可能額は自己株式の取得制限額でもあります。
それでは分配可能額の計算はどのように計算するのでしょうか。
以下、便宜上、当期に配当する場合で説明いたします。
■自己株式、のれん、繰延資産、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金、分配時まで期中剰余金増減取引がない場合
分配可能額=分配時の剰余金(その他利益剰余金+その他資本剰余金)
分配時の剰余金は前期末の剰余金に一定の剰余金増減取引(会社法第446条2~7号、会社計算規則第150条)を調整して算定することになっています。
分配時の剰余金となっていますが、期首から分配時までの期中の当期損益が発生していても上記の剰余金増減取引には含まれていませんので、他に期首から分配時までに剰余金増減取引がなければ、結局、前期末のその他利益剰余金とその他資本剰余金の合計額が分配可能額になります。
従って、当期首から分配時まで利益が計上されていてもそれからは分配できません。
但し、臨時計算書類を作成し一定の手続きを踏めば分配できます。
■自己株式、のれん、繰延資産、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金、分配時まで期中剰余金増減取引がある場合
分配可能額は通常下記のとおりです。
分配可能額=分配時の剰余金-分配時の自己株式の帳簿価額-期首から分配時までの自己株式の処分対価-法務省令で定める額(会社計算規則第158条)
法務省令で定める額のうち主な項目のみを示しますと分配可能額は下記の算式により計算されます。
留意点はどの時点(分配時か前期末)の数値を使うか、どの期中剰余金増減取引を使うか、減額調整項目があるかどうかです。
分配可能額=分配時のその他利益剰余金(期首から分配時までの当期損益を除く)+分配時のその他資本剰余金-分配時の自己株式の帳簿価額-期首から分配時までの自己株式の処分対価-前期末のその他有価証券評価差額金(マイナス残高のみ)-前期末の土地再評価差額金(マイナス残高のみ)-前期末ののれん等調整額がある場合の控除額
図で示しますと下記の黄色部分が分配可能額となります。
のれん、繰延資産、その他有価証券評価差額金、土地再評価差額金、分配時まで期中剰余金増減取引がある場合、うっかり、分配可能額を超過して配当しないようにしましょう。
さらに、連結配当規制適用会社は単体では分配可能額が大きくても、業績の悪い子会社等があるため連結ベースの分配可能額が小さくなる場合はその分影響を受けますので留意が必要です。
なお、法人税法上の資本金等の額、利益積立金額と会計上の資本等金額(資本金+準備金)+その他資本剰余金、その他利益剰余金は全く違います。
従って、その他資本剰余金を原資に配当した場合は法人税申告書作成上調整が必要ですので留意が必要です。
参考条文
・会社法第446条、第461条
・会社計算規則第149条、第150条、第158条、
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