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下請業者は有償支給か無償支給かにより簡易課税のみなし仕入率は異なります
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
課税売上50百万円以下の課税事業者は簡易課税制度を選択できますが、その名の通り業種によりみなし仕入率を決定し課税売上高さえ求めれば簡単に納付すべき消費税を計算できる仕組みとなっています。
みなし仕入率は下記の通りとなっており、業種区分が異なれば大幅に消費税も変わってきますので業種区分の判定は非常に重要です。
当然ですが第1種が最もみなし仕入率が大きいため支払消費税が最も小さくなります。
■有償支給か無償支給か
それでは、下請業者が原材料の支給を受け加工後、材料支給元業者に売上げる場合の業種区分はどのようになるでしょうか。
基本的に下請業者は製造工程の加工部分の一部を担当することになり、通常社内で加工すれば労務費や製造経費になる部分であるため製造業になると考えがちですが、消費税では原材料を材料支給元業者から有償で支給を受ける場合と無償で支給を受ける場合とでは業種区分が異なります。
基本的には有償支給を受ける場合は製造業(第3種)となり、無償支給を受ける場合は売上が加工部分のみとなりますので、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務を提供する事業(以下、加工業)」として第4種となります(消費税法基本通達13-2-4)。
但し、この場合の原材料とは主要材料のことです。
■補助材料の支給を受ける場合
下請業者が補助材料の支給を受け加工後、材料支給元業者に売上げる場合の業種区分はどのようになるでしょうか。
この場合は、下請業者が自分で主要材料を購入して製造するわけですので、補助材料を材料支給元業者から有償支給か無償支給を受けるかどうかにかかわらず、第3種(製造業)になります。
■金型の支給を受ける場合
下請業者が金型の支給を受け加工後、材料支給元業者に売上げる場合の業種区分はどのようになるでしょうか。
金型は材料となって製品を構成するわけではなく金型を使って製造するだけですので金型は他の固定資産同様、物理的に棚卸資産にはなりません。
有償支給であれば通常は工具扱いで減価償却費又は少額であれば消耗品処理されることになります。この場合は、下請業者が自分で主要材料を購入して製造するわけですので、金型を支給元業者から有償支給か無償支給を受けるかどうかにかかわらず、第3種(製造業)になります。
■主要材料の有償支給を受けるが、管理は有償支給元が行う場合
主要材料の有償支給を受ける場合は先述の通り、原則として第3種(製造業)になりますが、有償支給元が支給材料を管理し、所有権が有償支給元にある場合、下請業者にとって有償支給金額は保証金(材料支給元業者にとっては預り保証金)としての意味を持つことになりますので、無償支給を受ける場合と同様、第4種(加工業)となります(消費税法基本通達13-2-5)。
■有償支給を受ける場合の下請業者の会計処理
公認会計士の監査を受ける会社は一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき会計処理を行う必要がありますので、有償支給を受ける場合でも無償支給を受ける場合と同様、通常は加工賃部分のみ売上に計上することになります(我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告―IAS第18号「収益」に照らした考察―(会計制度委員会研究報告第13号))。
下請業者は有償支給材料のほぼ全量を加工後に支給元業者に売り戻すことを予定しており、当該材料の価格変動リスクを負っていないためです。
従って、下請業者は消費税法上、有償支給品の受入額は課税仕入れ、加工後材料支給元業者への売上は全額を課税売上としますが、会計上は加工費部分のみ売上計上となります。
材料仕入額と売上額を相殺するようなイメージとなります。いわゆる純額処理となり総額処理はしません。
従って、会計上の売上高と消費税上の課税売上高は一致しないことになります。
また、有償支給元業者の会計処理も同様に、材料支給時は有償支給差額のみ収益計上し、加工後製品仕入時は加工賃のみ原価計上し有償支給時の材料及び有償支給差額は借方計上し、純額処理します。
材料支給元業者は下請け業者から買戻しを予定しており、材料の所有に伴うリスク及び経済価値を下請業者に移転していないこと、下請業者への材料有償支給を売上計上し、加工後の納入を全額仕入計上すると売上高及び仕入高が過大計上され粉飾決算につながるからです。
さらに、下請業者への有償支給品の期末押込み販売も有償支給差額の過大計上になり金額的重要性が高い場合には粉飾決算につながりますので問題と可能性があります。
21/06/01
21/04/21
大阪で税理士事務所・公認会計士事務所として開業している公認会計士大里眞司事務所です。
課税売上50百万円以下の課税事業者は簡易課税制度を選択できますが、その名の通り業種によりみなし仕入率を決定し課税売上高さえ求めれば簡単に納付すべき消費税を計算できる仕組みとなっています。
みなし仕入率は下記の通りとなっており、業種区分が異なれば大幅に消費税も変わってきますので業種区分の判定は非常に重要です。
当然ですが第1種が最もみなし仕入率が大きいため支払消費税が最も小さくなります。
■有償支給か無償支給か
それでは、下請業者が原材料の支給を受け加工後、材料支給元業者に売上げる場合の業種区分はどのようになるでしょうか。
基本的に下請業者は製造工程の加工部分の一部を担当することになり、通常社内で加工すれば労務費や製造経費になる部分であるため製造業になると考えがちですが、消費税では原材料を材料支給元業者から有償で支給を受ける場合と無償で支給を受ける場合とでは業種区分が異なります。
基本的には有償支給を受ける場合は製造業(第3種)となり、無償支給を受ける場合は売上が加工部分のみとなりますので、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務を提供する事業(以下、加工業)」として第4種となります(消費税法基本通達13-2-4)。
但し、この場合の原材料とは主要材料のことです。
■補助材料の支給を受ける場合
下請業者が補助材料の支給を受け加工後、材料支給元業者に売上げる場合の業種区分はどのようになるでしょうか。
この場合は、下請業者が自分で主要材料を購入して製造するわけですので、補助材料を材料支給元業者から有償支給か無償支給を受けるかどうかにかかわらず、第3種(製造業)になります。
■金型の支給を受ける場合
下請業者が金型の支給を受け加工後、材料支給元業者に売上げる場合の業種区分はどのようになるでしょうか。
金型は材料となって製品を構成するわけではなく金型を使って製造するだけですので金型は他の固定資産同様、物理的に棚卸資産にはなりません。
有償支給であれば通常は工具扱いで減価償却費又は少額であれば消耗品処理されることになります。この場合は、下請業者が自分で主要材料を購入して製造するわけですので、金型を支給元業者から有償支給か無償支給を受けるかどうかにかかわらず、第3種(製造業)になります。
■主要材料の有償支給を受けるが、管理は有償支給元が行う場合
主要材料の有償支給を受ける場合は先述の通り、原則として第3種(製造業)になりますが、有償支給元が支給材料を管理し、所有権が有償支給元にある場合、下請業者にとって有償支給金額は保証金(材料支給元業者にとっては預り保証金)としての意味を持つことになりますので、無償支給を受ける場合と同様、第4種(加工業)となります(消費税法基本通達13-2-5)。
■有償支給を受ける場合の下請業者の会計処理
公認会計士の監査を受ける会社は一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき会計処理を行う必要がありますので、有償支給を受ける場合でも無償支給を受ける場合と同様、通常は加工賃部分のみ売上に計上することになります(我が国の収益認識に関する研究報告(中間報告―IAS第18号「収益」に照らした考察―(会計制度委員会研究報告第13号))。
下請業者は有償支給材料のほぼ全量を加工後に支給元業者に売り戻すことを予定しており、当該材料の価格変動リスクを負っていないためです。
従って、下請業者は消費税法上、有償支給品の受入額は課税仕入れ、加工後材料支給元業者への売上は全額を課税売上としますが、会計上は加工費部分のみ売上計上となります。
材料仕入額と売上額を相殺するようなイメージとなります。いわゆる純額処理となり総額処理はしません。
従って、会計上の売上高と消費税上の課税売上高は一致しないことになります。
また、有償支給元業者の会計処理も同様に、材料支給時は有償支給差額のみ収益計上し、加工後製品仕入時は加工賃のみ原価計上し有償支給時の材料及び有償支給差額は借方計上し、純額処理します。
材料支給元業者は下請け業者から買戻しを予定しており、材料の所有に伴うリスク及び経済価値を下請業者に移転していないこと、下請業者への材料有償支給を売上計上し、加工後の納入を全額仕入計上すると売上高及び仕入高が過大計上され粉飾決算につながるからです。
さらに、下請業者への有償支給品の期末押込み販売も有償支給差額の過大計上になり金額的重要性が高い場合には粉飾決算につながりますので問題と可能性があります。
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